最適なワキガ

関東地方を例にとって、スギ花粉症が多い地域環境を説明しよう。 周囲を山地や丘陵で囲まれた関東平野は、南北約一四○東西約一○○もあり、日本一広い。
ここに日本の全人口の三一・二%が住み、東京都を除いても二一○万人以上の都市が一五もある。 産業は発達し、交通路も縦横に走り、都市化の典型を示す地域が多い。
関東地方のスギ、ヒノキの森林環境で、その植生は東京都西部、埼玉県西部、千葉県中南部、神奈川県西南部、茨城県北部、栃木県中央部、群馬県南西部などにおもな分布が見られる。 しかも伊豆地方にも豊かな植生があり、したがって関東平野はスギ、ヒノキの森林で囲まれているといってよい。

そのうえ、本来は関東ローム層で地下水が深く、スギ造林に適さない平野部にまでスギが植林された。 その結果、関東地方の針葉樹人工林面積の約七○%までもスギで占められるようになった。
一都六県のスギ、ヒノキ植林面積では栃木県がトップで、ここがスギ花粉症発祥の地であることもうなずける。 また、スギとヒノキを比べれば、スギのほうが多い。
関東地方のスギ造林は、T大学農学部のH・H氏の調査では山武スギなどを除き、ほとんどが実生スギ造林で、着花が旺盛で、二○年前後で始まり、壮・老齢樹でも豊作年には多量に着花するスギなどの有用樹木の花粉発生源対策は、対象があまりにも広大で、しかも国有林と民有林に分かれているので、対策も一様には行えないという困難さがある。 林野庁でもスギ花粉症対策として、雄花の豊富な木からの枝打ち、間伐を進めているが、林業従事者不足の現在、どの程度対策は進んでいるのであろうか。
実験的にはスギの雄花の開花を抑制する研究も行われている。 前述の橋詰らは、スギについて花芽の分化が活発になる七月上旬にマレイン酸ヒドラジドという人工合成ホルモン剤を含む市販の農薬(植物生育調節剤)に、開花を促進するジベレリンの働きを抑制する効果のあることを見いだし、という特性を持っている。
この点は、九州地方に多い着花性の低い品種のさし木スギ造林とは異なる森林環境といえる。 また、スギの林齢に注目するとスギの雄花芽の着生は二○〜三○年生の間に急増するといわれており、しかも三○年生以降は多数の雄花芽を着生する状態を維持している。
関東地方ではこの二○〜三○年生のスギが全体の約四○%を占め、さらに若年のものが十数%ある。

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